10月13日土曜日、
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについての勉強会に参加してきました。長文になるので、結論を先に話します。
女の子は中学1年生になったらHPVワクチンを打ちましょう!!!
これは公費のワクチンです!
まずは厚生労働省のホームページに記載されているヒトパピローマウイルス感染症について転載します。(以下「」)
「ヒトパピローマウイルスは、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。しかしながら、子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっていることが分かってきました。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えていることもあり、問題視されているウイルスです。」
このウイルスを予防するワクチンについての勉強会でした。
ご講演くださったのは、長坂一憲(ながさかかずのり)先生、
帝京大学産婦人科の講師で婦人科腫瘍(女性のがん)がご専門です。
「ヒトパピローマウイルスに感染すると、ウイルスが自然に排除されることもありますが、そのままとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると子宮頸がんが発生すると考えられています。
子宮頸がんは、早期に発見されれば比較的治療しやすいがんですが、進行した場合には治療は難しいとされています。」
年間25200例、特に近年、若い女性(20歳後半~40歳前後)でこの病気で亡くなられる方が増えています。早期発見、早期治療できれば比較的予後のよいがんですが、進行が早く気が付いたら手のつけようがない場合もみられます。今回の講演でもお話がありましたが、夫は働き盛り、子供はかわいい育ち盛りにあって、このがんで亡くなられる方の心中は察するに余りあります。
そこで大切になるのが予防です!
一時期、HPVワクチン接種によって重篤な副作用が生じたとのことで、接種勧奨(どんどん打ちましょう!)が中止されましたが、5年たって様々な検証がなされた結果、ワクチンとの因果関係はないとの結論に至り、日本産婦人科学会から今年の6月に以下の声明が出されました。
つまり、ワクチンの副作用ではないし、病気になってしまう若い方が増えている現状、ワクチンで予防したほうが悲しいつらい思いをしなくて済むから、どんどん打ちませんか?ということです。
仮にワクチン接種後に何らかの症状が出た場合も、この5年間でバックアップ体制が整ったとのことです。
ワクチンの効果は
「子宮頸がん予防(HPV)ワクチンは新しいワクチンのため、子宮頸がんそのものを予防する効果はまだ確認されておりませんが、ワクチン接種により、ワクチンが対象としているウイルスによるがんの前段階の病変への罹患リスクを90%以上減らすことができると報告されており、子宮頸がんの予防も期待されています。」
ワクチンスケジュールは計3回接種
「2価ワクチン(サーバリックス):中学1年生の間に、1ヵ月の間隔をおいて2回接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて1回の接種を行います。
4価ワクチン(ガーダシル):中学1年生の間に、2ヵ月の間隔をおいて2回接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて1回の接種を行います。
定期の予防接種は、各市町村が実施主体となっていますので、お住まいの市町村での実施方法など、詳細については、市町村の予防接種担当課にお問い合わせください。」
というわけで、お住まいの市区町村の予防接種担当課に行くと、予診票がもらえます。
当クリニックでも接種できますので、ご質問や不明点など、お気軽にご相談くださいね。一人でも多く、悲しい思いをしなくて済む世の中になってほしいと思います。
勉強会のあと、懇親会があり、長坂先生と情報交換できました。
長坂先生は、若い女性が子宮頸がんで亡くなるそのつらさを診てこられています。それだけに、言葉の端々に癌の治療や予防(ワクチン)に対する情熱を強く感じました。熱い患者さん想いのいい先生です。
また、座長(講演会の司会)を務められました、中山栄一先生は、私の先輩で、練馬区で小児科クリニックをされています。若いころにご指導いただきました尊敬する先輩の一人です。今回も、「久津間勉強するぞ!」と誘ってくださいました。本当に感謝です。
その中山先生と同期で、私がNICU(新生児集中治療室)で勤務したとき、小さな身体で懸命に頑張る赤ちゃんたちへの医療を教えてくださったのが尊敬する先輩の一人、代田道彦先生です。今は中山先生のクリニックで一緒に診療されています。
これからも、医療はどんどん新しいことが増えていきます。
遅れをとらぬようしっかりと勉強していきたいと思います。